2008年10月、名機といわれたCanon PIXUS MP610の発売から一年後にMP620とMP630が発売されました。MP620の最大の売りはMP610には搭載されていなかった無線LAN(Wi-Fi)に対応したことです。有線LANにも対応しました。
確かに、今では当たり前になっていますが、ワイヤレス印刷は非常にありがたい機能です。私の家では未だにUSBケーブルを抜き差ししてパソコンから印刷しています(笑)。
本体のサイズも3センチくらい小型化し、重量も10㎏→8.8㎏と軽量化に成功しました。
後継機MP620が名機になれなかった理由
良い事づくめのこのMP620ですが、実はMP610が名機(神機)と呼ばれるようになる大きな改悪も含んでいました。プリントヘッドとインクカートリッジの変更です。また、CD/DVDレーベル印刷や自動両面印刷の機能もコストダウンのためか外されてしまいました(MP630は機能あり)。
MP610のインクカートリッジはBCI-7e+9なのですが、こちらがBCI-321+320というインクカートリッジのシリーズに変更になりました。
ここで大きな問題が発生しました。
BCI-7e+9とBCI-321+320の違い
当時のインクカートリッジの価格は若干BCI-7e+9の方が安いくらいで新型インクカートリッジが特別高かったというわけではなかったのですが、大きな違いがありました。
インクカートリッジ内のインク容量です。カートリッジがコンパクトになったので見た目でもわかりますが、旧カートリッジのブラックが20ml入っていたのに対して16mlと20%減量しています。カラーインクも同様に10mlから7~8mlのインク量になってしまいました。
当然、インクカートリッジの価格が同じようでも、印刷コストがアップしたことは間違いありません。
ただでさえ高価な純正インクカートリッジですが、このころからインクジェットプリンターメーカーとユーザーの間に不信感が生まれました。
以降も、インクカートリッジが変更されていき、数年前からXLが末尾につく大容量をうたったインクカートリッジも発売されましたが、価格が上がっているのにもかかわらず、BCI-7e+9シリーズのカートリッジと同等かそれより少ないという悲しい結果になっています。
セットで全色購入すると5000円以上になってしまうので、インクを買い替えるより本体を購入して使い捨てた方が安く済むという非常にエコじゃないプリンターも人気が出ました。
参照記事:使い捨てプリンター? iP2700のコストパフォーマンスがすごい。
互換インクや詰め替えインクとのイタチごっこ
純正インクが高くなっていったからか、詰め替えインクが市場に広がっていったからかいつしかプリンターメーカーの販売はインク商法と呼ばれるようになってしまいました。
現在、BCI-7eの純正インクがまだCanonから販売されていることはすごいことですが、価格.comで990円でした。互換インクは80円を切っています。
純正のインクの方が高品質なのはわかるのですが、ユーザーとしてはもう少し価格がリーズナブルになってほしいと思います。その延長線がエコインクタンクなのであれば早く国内でも発売されてほしいと思います。